5月も終わりに近づき、来週からは6月に入る。
この時期は大学生の就職活動で最も大切なタイミングで、6月1日には「選考解禁」、つまり「面接解禁」を迎える。
しかし、多くの学生や大学、企業の間で信じる人はいなく、実際にはこの時点で就職活動はほぼ終盤となっているのが実情だ。
今年度の選考解禁前の採用状況については、ディスコの調査によると、58.4%(前年同月比+8.2ポイント/5月1日時点 ※1)の学生が内定を取得しており、就職みらい研究所の調査によると、59.2%(前年同月比+10.0ポイント/5月15日時点 ※2)が内定済みといういずれも高い状況にある。
※1:ディスコ「キャリタス就活2022 学生モニター調査結果(2021年5月)」
※2:就職みらい研究所「就職プロセス調査 (2022年卒)」
つまり、数字の上からも「選考解禁」は建前であり、実際には多くの企業で選考がスタート。どの学生を採用するかが決まっているのである。
さて、近年は就活の早期化が進んでいるが、その一つの手段としてインターンシップが実施されている。
しかし、文科省はインターンシップで得た学生の個人情報を採用選考などに使用しないように通知している(※3)
※3:文部科学省「2021年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)」
それではインターンシップでの選考は行われていないのだろうか?
答えはNOである。
就職活動が「選考解禁」よりも前から行われているように、インターンシップによる選考も行われているのが実情だ。
そのような動きを受けてか、先ほどの文科省の通知文は2021年度に更新され、次のように変わっている(※一部抜粋)
<2020年度>
原則、インターンシップの募集等で得られた学生の属性などの個人情報を採用選考目的に利用しないこと。
※資料:文部科学省「大学、短期大学及び高等専門学校就職支援担当の方へ-(企業への要請文例)2020年度大学等卒業・修了予定者の就職・採用活動についての御願い-」
<2021年度>
インターンシップ等で取得した学生の個人情報は、広報活動・採用選考活動に使用しないこと。ただし、2021 年度卒業・修了予定者を対象とし、広報活動・採用選考活動の開始期日以降に実施されるインターンシップで、あらかじめ広報活動・採用選考活動の趣旨を含むことが示されている場合には、この限りではない。
※資料:文部科学省「2021年度大学、短期大学及び高等専門学校卒業・修了予定者に係る就職について(申合せ)」より
このように2021年度は選考活動の開始日以降であれば、インターンシップで取得した情報で採用しても良いと言うことである。
しかし、先ほども述べたように採用選考は解禁日よりも前から行われていることから、この申合せも建前になる可能性は高い。
そろそろインターンシップにおいても建前とはならなく、学生が困惑しない説明が必要な時ではないだろうか。
野村尚克/プログラム開発室 室長
ミライシップ プログラム開発室 室長
立教大学大学院修了、筑波大学大学院退学/北海道出身