3-PBL課題解決プログラム

【REPORT】地域PBL@長野県塩尻市(2017.6.16-18)

2017年6月16日~18日にインターン生が長野県塩尻市へ行ってきました。3日間のなかではたくさんの地域の人たちにお会いし、インタビューや調査を実施。最終的に3つの提案を行いました。当日の模様については田中裕子さん(慶應義塾大学商学部在学)が以下にレポートをまとめていますのでご覧ください。


REPORT

ミライシップには課題解決能力を身につける「3-PBL課題解決プログラム」というのがあり、実際に地域を訪れて課題解決に挑む機会があります。今回は6月16日(金)~18日(日)にわたって長野県塩尻市へ行ってきました。訪問前には事前研修が行われ、塩尻市役所の方が課題を提示。2週間をかけて事前調査や情報収集を行い、訪問中は現地でヒアリングをして施策を考案。最終日には市役所や企業の方たちへ提案を行いました。

◆塩尻市の現状と今回の課題

塩尻市の人口は67,123人(2017年6月1日時点)。若者を始めとする人口減少に拍車がかかるなか、6年後の2023年には63,000人まで減少すると推測されています。しかし、塩尻市は減少していくことを前提として65,000人以下までは減らさないことを目標にかかげています。また、塩尻市では高齢化に伴って空き家が増加しています。空き家は風景・景観の悪化や防火性の低下、ごみの不法投棄など近隣住民の不安につながる深刻な問題となっています。
これらの課題を踏まえ、今回は塩尻市の魅力発掘とともに空き家問題の解決に繋がるツアーの企画が求められました。テーマは「首都圏の各ターゲット層に向けた塩尻の魅力を伝えるツアーの考案」で、ターゲットは「女性」「夫婦」「子育て世代」です。そこで今回は3つのクラスに分かれ、異なるターゲット層に向けた提案をしました。いずれも塩尻市内にある「奈良井宿の空き家問題解決につながるようなコンテンツを含める」という条件のもと、実現性のあるツアーの考案です。

◆ターゲットと事前調査

私たちのクラスは「女性向け」のツアーを担当しました。それは将来的に塩尻への移住を考えてもらうには若いうちに塩尻のことを知ってもらうことが重要だと考え、20~30代の若い独身女性をターゲットに設定。「都内近郊に住む20~30代の独身女性に塩尻の魅力を広める」ことを目的としました。
そこで事前に都内(新宿・渋谷・表参道など)でターゲット女性100人に街頭インタビューをしました。その結果、旅行には観光地よりも「食」や「癒し」を求めている女性が多く、また地方での生活に興味がある女性は多いがその大半が塩尻を知らないということが分かりました。そこでPR効果が高いコンテンツをつくる必要があると考えました。

◆塩尻を歩いてみて

実際に塩尻市へ行ってみると現地の人々と話さないと知ることができない魅力がたくさんあることがわかりました。そして1日中調査や観光をしてみてわかったことは、塩尻の大きな魅力は、「人のあたたかさを感じられる町である」ということ。奈良井宿を散策している際に、それぞれの空き家やお店について解説していただいたり、快くインタビューに答えていただいたりと、現地の方とたくさんの交流ができました。また、観光客同士でも写真を撮ったり塩尻に来た経緯を話し合ったりと、「人とのつながり」や「出会い」が広がる町でした。

◆アイデアとプレゼンテーション

私たち のアイデアを塩尻市で活動されている地域おこし協力隊の方に提案してお話を伺うと、以前塩尻市内で実施したイベントを例にあげ、コンテンツを充実させても1つでも興味のない内容があれば参加率は下がってしまうと意見を頂きました。そして、ツアーの参加者全員が同じコンテンツをまわる場合、参加者全員を満足させることはできないともおっしゃっていました。そこで、参加者自身がツアーのプランをカスタマイズでき、さらに専属の案内人を付けることでより1人1人の満足度の向上を図るというツアーコンテンツを再度考えました。それぞれカスタマイズできるプランには、「塩尻の食を楽しむもの」、「空き家を活用して体験できるもの」、「SNS映えのする景色」、などを含んでおり、さらに現地の案内人がいることで新たな出会いを生み出すことができるツアーとなっています。
そしてプレゼンテーションです。企画の主旨や狙いについて、関係者の皆さまは真剣に提案を聞いて下さいました。

◆地域課題解決提案を終えて

今回の地域課題解決提案で最も印象に残ったことがあります。それは、塩尻市の地域おこし協力隊、市役所職員、市民(塩尻や奈良井で生活している人)から直接お話を伺っていると、人々の間で地域活性化に対する認識や改善意欲に差があったことです。市民の人たちの中には、「今まで通り自分たちがゆっくり暮らせればいい」「変革はいらない」という考えを持っている人もいます。これは実際に塩尻市に訪れてヒアリングを行ったからこそ発見できたことです。それに対する解決策までは今回はできませんでしたが、塩尻への「移住者の増加」や「奈良井宿の空き家問題の解決」を目指す以前に、問題発見や課題設定のプロセスを考える以前に、まずは現地の皆さまの声をしっかり集め、どちらかだけではなく双方が歩み寄れるような提案を行うことがとても大切だと思いました。
今回、初めて地域課題解決提案に参加してみて正直とてもつらかったです。課題解決自体が苦手であるため、自分が何をしなければいけないのかが全く分からない状態でした。また、最終的な発表もメンバー任せになってしまうところがありました。しかし、この体験によって、“人任せにせずリーダーの自覚を持つこと”や“限られた中でも自分のできるもの・頑張るポイントを見つけること”、“人の意見や提案を鵜呑みにせずに自分の頭でしっかり考えること”が私には足りていないことに気付けました。そして、実際に自分たちの力で情報収集やヒアリング、仮説検証、施策立案を行うことで課題解決が進むことを理解することができました。
私は今回の活動を通して反省点ばかりでしたが、少しは成長したのではないかなと感じています。短い期間だったものの塩尻の魅力に触れ、町の人々と交流しながら、スキルを学ぶことができたので参加して良かったです。

<執筆者プロフィール>

田中 裕子(たなか ゆうこ)/慶應義塾大学 商学部 2年生
1997年栃木県宇都宮市生まれ。ミライシップ11期生。自分に自信が持てるように変わりたい、と思ったことがきっかけでインターンに参加。ミライシップの広報PRを担当。

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