INTERNSHIP×大学

【INTERNSHIP×大学①】日本初の経営専門職学科は20単位のインターンシップが必修(前編)

本年4月に日本初の経営専門職学科となった名古屋産業大学現代ビジネス学部経営専門職学科は実践力を持つ人材を育てるが、段階的かつ体系的な教育プログラムを設計している。なかでもインターンシップは2年次から体験し、20単位の必修である。同学科でインターンシップを担当する今永典秀さんにお話しを聞いた(聞き手:Mirai Ship PROJECT 主宰 眞野目悠太)


PROFILE:
今永典秀/名古屋産業大学現代ビジネス学部経営専門職学科准教授、地域連携センター長
岐阜大学博士(工学)、愛知県出身・愛知県在住
名古屋大学経済学部卒業後、大手信託銀行へ就職。東京勤務となるが、地元に貢献したいとの想いから名古屋に本社のある大手自動車系不動産会社へUターン転職。経営企画部に所属しながら、ボランティアで社会人と学生が協働する団体「NAGOYA×FOREVER」を立ち上げる。 その後、国立大学法人岐阜大学地域協学センターへ移り、特任助教としてCOC+事業を担当。企業と学生の協働学習やインターンシップを数多く手がけた。 現職の名古屋産業大学では専門職大学・学科の新設プロジェクトに関与し、インターンシップのプロデュースを行う傍ら、企業やNPOのアドバイザーなどをつとめる。
共著に『企業のためのインターンシップ実施マニュアル(日本能率協会マネジメントセンター、2021)』がある。


-名古屋産業大学の経営専門職学科は今年4月に日本初のビジネスの専門職をめざす学科となりましたが、はじめてお会いした頃はまだそうではありませんでした。学科が育成する人物像についてお聞かせください。

今永:既存の大学から専門職学科に認可されたのは名古屋産業だけなのですが、これまで現代ビジネス学部で積み重ねてきた、ビジネス社会に直結した豊富な知識や技術をベースに、新時代のデジタルデータ知識と活用技術を習得するものです。企業経営スペシャリストを育て、企画立案ができ事業創造に貢献する本当に社会で活躍できる人材の育成を目指しています。
私は専門職学科設立の企画段階から関与しましたが、本学が実現できたのは建学の精神にある「職業教育をとおして社会で活躍できる人材の育成」が大きく影響しています。これこそが社会から求められ、これからの学生にとって必要なものに合致するからです。具体的には名古屋産業大学が育てる経営専門職人材について次の2つを明示しています。

1)デジタルデータの知識技能を備えた高度な実践力
2)事業に関する高度な知識と豊かな創造力を有し、事業の価値創造に貢献できる人材

最初に「デジタルデータ」と記していますが、本学における定義は、主にAI、IoT、ビックデータなどの数値データで、その中で事業の実践プロセスに関するデータと、これを評価する業績データ、市場データ、顧客データなどの企業経営に関するデータのことです。今まさに産業界では人材が不足しており、急速に求められている領域について教育します。

-確かにそれらのノウハウを持つ人材はいまとても必要とされていますね。教育プログラムはどのようなものを用意されているのでしょうか

今永:大きな特徴は座学と実践を交互に体験する設計にしていることです。そして、学年別にテーマを設け、1年次は「見る・聞く・知る」、2年次と3年次は「体験・実践・実力定着」、4年次は「挑戦」とし、学年ごとに座学と実践を体験。4年次は主に実践の機会とするようにしています。

  

資料:名古屋産業大学HPより

さらに教育の質を保証するため、キャリアデザインの講義を1年次から3年次まで入れ、そこに専門ゼミナールや臨地実務実習などを連携させています。このことで、学生が個人ごとに体系立てたキャリアデザインを描くことで、個別の教育アプローチを実現します。

資料:名古屋産業大学HPより

(緊急事態宣言発令中のためオンラインによるインタビューを行った)

-どのような学生たちが学んでいるのでしょうか

今永:今年度は初年度で、かつコロナの影響で、募集・広報が遅れた影響がありましたが、16名の学生が入学しました。本学科の特長を理解して入学した学生が大半で、1/3は起業したい、1/3は後継者になる、1/3はこれから大学時代に探すと言っていますが、英語や中国語を話せる学生や、動画作成がサクサクできる子などもいて、学科が目指す方向性と相性の良い学生が入学し、お互いの個性を尊重しながら、積極的に行動できる学生が集まりました。

-そのような学生を実践力を持つ人材へと育てるわけですが、どのような教員がいらっしゃいますか

今永:教員は実戦経験豊富な人が中心で、企業内での事業企画立案、税理士や中小企業診断士、経営コンサルタントなどのビジネスのプロフェッショナルで構成されています。また、実際に働いている実務者の授業も設け、10名弱の事業企画・マーケティング・ファイナンスやデジタルデータなどの分野の専門家が参加しています。実務と理論の両方を知り、実践中にリアル経験・体験を踏まえた授業ができる教員、研究者として理論に詳しい教員のそれぞれの特長を活かした授業を展開することで実践力を持った人材を育てられるようサポートします。

-実践力を育てるには実務を知っていることが大切ですが、企業などの協力はどうでしょうか

今永:企業との連携も進めています。現在までに約50の法人にご協力頂けることが決まりました(2021年4月現在)。ベンチャー企業から地場産業、製造業・サービス業など幅広く協力を得られております。また、愛知中小企業家同友会さま、NPO法人G-netさまなどと連携協定を締結しています。将来、社会で活躍する人材を育成するために、様々なノウハウをお持ちの団体さまからもご協力を頂けています。

-具体的にはどのような協力があるのでしょうか

今永:主にインターンシップをはじめとした実習科目についてご協力頂くのですが、大きくはPBL(課題解決型学習)とインターンシップがあります。PBLについては、実際に取り組まれている事業の課題を提示して頂き、それを解決する提案を学生たちが考えます。その際には実務経験豊富な教員がサポートするため、実際のビジネスの世界を体感できるような内容を再現します。イメージは無料で受けられるコンサルティング体験のようなものでしょうか。
この体験は学生にとって貴重な場になり、座学では理解し難い、実際の企業の仕事・ビジネスを理解することに繋がります。また、様々な企業の方たちとお話しをする機会にもなりますので、企業とは、社会人とは、働くとはどういったことかへの理解も進みます。

(聞き手:Mirai Ship PROJECT 主宰 眞野目悠太)

※次回「20単位のインターンシップ」へ続く

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